平成244月から、ブログ「日本と台湾を考える集い」は新しいホームページhttp://tsudoi-jptw.jimdo.com/に移行しています。「集い」を含む関西の台湾関係行事等の情報は公式サイトをご覧下さい。


2011/08/07

第19回集いの報告


お話される竹中信子さん

会場の様子

竹中さんの著書(明治・大正・昭和上下の4冊)

第19回目となる「集い」は8月6日(土)ドーンセンター大会議室1で開催。69人が参加した。
講師の竹中信子氏(財団法人台湾協会理事・作家)の祖父は領台最初期に民間人の立場で渡台。ご本人は15歳まで台湾東北部の漁港野町・蘇澳で生活された。 

1時間半のお話は、多方面にわたり領台時の様子を紹介された後、主として明治・大正期の女性の実態をお話された。(以下は管理人の頭に残ったことであり、不足分はお許しください。)
・当時の台湾は治安が極めて悪く、良民は日常的に殺傷されており、土匪の反乱を「抗日」と規定する人もいるが、そうではない。(例えば、明治30年から2年間だけで8,903人が土匪により殺された。)台北、台南の無血入城には、治安の安定を望む背景があった。
・統治するために渡った男に続き、女は主として売春婦・酌婦等の女性が渡った。日本により台湾に公娼制度が導入された。敗戦後、日本がアメリカの占領を受けたことと比較して、当時の日本人が台湾人から尊敬を受けなかった一つの要因ではなかったか。
・日本人の暴言・暴力、褌、腰巻一つの裸体及び昼間からの泥酔等も同様。
・娼婦の自殺が多かったこと、廃娼運動を提唱した男性の紹介。
・原住民部落の警察官の生活、原住民女性との結婚した男性の紹介。
・「愛国婦人会等」の国策婦人団体は台湾では発足が遅れたこと。

最後に、インフラ・教育の普及などの実績がある一方、霧社事件に現れたように他の民族を支配することはどうしても無理があり、日本の台湾統治が「良かったか悪かったか」と一概に言えるものではないと話された。講演を終えて、4人の質問に答えるなかで、昭和期のエピソードを紹介された。

 なお、講演に先立ち、 烏山頭ダムを築造した八田與一夫妻を台湾人の立場からダンスで表現し  た台湾青年舞団(台中県青年高級中学)による「千鷺之歌」プロモーション映像を上映した。なお、完全版は、第21回集いで紹介する予定。また、恒例の台湾グッズ抽選会を楽しく行なった。終了後の懇親会は34人が参加した。

[寄せられた感想]
■ 殖民時代で台湾で過ごされた日本人の女性から見たこと、感じたことについて貴重な話を聞くことが出来てとても良かったです。
■ 意見交換の時間をもっと増やせば良いのではないかと思います。
■ 「千鷺之歌」のプロモーション映像がすごく良かったです。近年、台湾と日本の友好・親善の機運が高まっていく中、日本で上演してくださると、日本人はとても感動・元気付けられる(震災に対する支援)と思います。謝謝!
■ 質問中、ある男性が、「公娼制度は戦前は制度として存在していた」という指摘がありました。

「従軍慰安婦」で騒ぐ反日に対する反論としては正解で十分です。公娼制度は当時、日本はもとより世界各地に存在していて、日本だけに存在していたわけではないからです。しかし、竹中さんは、反日屋とは違うことを言っています。公娼制度の是非について、①当時、廃娼運動が存在し、戦後の売春防止法制定に貢献したこと。②娼婦は境遇の違いこそあれ、差別を受けていて、婚姻・出産という人生を送ることができる人が少なかった。その結果、自殺者が他の職業に比べ多く、その事実を当時の社会は取り上げようとしなかったことを同時代的に語っていました。同時代的にが決定的に違います。 ②については、台湾、日本にみならず、米国映画「風の共に去りぬ」の中で、売春宿の女主人が南部への献金をしようとして、「あんな商売女のカネなど受け取れない」と陰口を言う女性がいるシーンの存在からも理解できます。その女主人のセリフ「私だって南部の女さ。愛国心ぐらいある」は、胸を打ちます。「愛国心」は反日女には痛烈なパンチです。制度があるからある、などという議論は単純極まりない。左翼や反日への反論では十分でも、同時代的に存在していた制度への価値判断はまったくない。竹中さんは、そのことやんわりと指摘し、力説していました。正解です。早速、竹中さんの本を注文しました。
■ 参加させてもらって有難う御座いました。次回も参加させてもらうつもりですので宜しくお願いいたします。
■ 講演は講師ご自身の体験が軸で迫力があり感銘を深く受けました。
とすれば在台日本人の話は都会地に住んでいたそれも日の当っていた人のことが多いのですが、講師は蘇澳という片田舎で育ち、自身も含めて三代のお話で、台湾の埋もれた歴史の断片に触れた思いです。ご自身の台湾の々との当時の接触について機会があればお聞きしたいものです。
■ 土曜日の会に初めて参加させていただきました、ライターの高橋ゆかりです。
竹中信子さんのおはなし、とてもよかったです。企画してくださって、本当にありがとうございました~「非常感謝!」です。これを機会に、今後の会にも都合がつけば参加したいと考えております。よろしくお願いいたします!さて、私はライターをしておりますが、普段は主に「テレビコラム」を書いております。 (ブログです)
また、自分のHPのなかで最近、「戦前の台湾」のことも書き始めました。
いつの日か本にまとめたいのですが、出版不況の昨今、現実はなかなか難しいので、とりあえずこういう形で綴っています。どちらもお恥ずかしい、つたないものですが。またお暇なお時間があれば、のぞいてみてください。では今後ともよろしくお願いいたします。

1 件のコメント:

トニー さんのコメント...

さすがに50年間を語るとなると、
講演の時間がいくらあっても
足りない感じですね!

今回の明治・大正編を主としたお話しに続く、昭和編のお話しをまた、聞きたいですね!