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2009/01/15

鳥居信平技師による地下ダムの紹介

画像は順に①丁教授 ②用水路  ③地下ダムから取水する用水路を管理するための人孔の中(下部に水が流れていることが分かる) 
④ 堰堤





1月10日昼過ぎに池上文庫と別れ、二峰圳に移動した。
この地下ダム及び水路網は、日本統治時代の台湾製糖㈱が農場開拓に必要な水源を確保するために、林辺渓において鳥居信平技師に建造させたものです。
説明者は国立屏東科技大学の土木工程系の丁澈士教授。
通訳は台北から張さんに来ていただいた。
丁教授の説明及び日本語に翻訳された資料に基づいて以下に簡単に紹介します。
詳細は、平野久美子氏によるルポルタージュが掲載された月刊「正論」2月号をお読みください。
ダムというと水が満面貯めている姿を連想しますが、画像では、「あれっ!」という感じを受けると思います。
もともと、ダムとは堰堤を意味するそうで、オランダのロッテルダムはロッテ川のダムから町が発展したことから名付けられたそうです(Wikiより)。
林辺渓は1月から5月までの渇水期には流水が無くなりますが、河床下には豊富な伏流水が存在することから、鳥居技師はそれを取水するための最適な場所に地下堰堤(画像はその上部)を築造しました。
そして、台糖が経営する萬隆農場への用水路約3,500mを計画し、全体の工事は1921(大正10)年5月から23(同12)年、延16万人の人力で以って工事を完成させました。
その後、河床が洗い流されたことにより、戦後1987年大改修が行われたそうです。
このような地下ダム形式は台湾では他に3ヵ所存在するといいます。
伏流水は表面水と違い、洪水時においても清らかであることに加え、取水時に設置された木炭等によるろ過効果も加わり、水質はそのまま飲めるもので、私たち視察団も試飲しました。
ここの水は軟水であることもあり、とても美味しいものでした。
日本の建設技術者は80年前の台湾において、環境に負荷をかけない形で取水事業を成し遂げた鳥居信平氏のことは烏山頭水庫の八田與一氏とともに研究するべきだと思います。

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