平成244月から、ブログ「日本と台湾を考える集い」は新しいホームページhttp://tsudoi-jptw.jimdo.com/に移行しています。「集い」を含む関西の台湾関係行事等の情報は公式サイトをご覧下さい。


2011/01/30

第16回集い報告

1月29日、難波市民学習センター講堂において、55人の参加者を得て開催されました。
最初に事務局により先の訪台旅行を30分のビデオ映像で紹介した後、平野久美子さんから「サムライから革命家まで~私が出会った台湾のトオサン」と題して、一時間半にわたる画像を交えたお話をお伺いしました。(以下、事務局による要約)

・日本統治最後期に青少年期を送ったトウサンたちは、日本の敗戦により国籍を変えられ、更に国交断絶により戦後の日本にも捨てられたとの思い。
・新たな統治者・国民党による反日教育を受けた自分の子供から、「お父さんの考えはおかしい」と否定され、日本語に代わる「国語」となった北京語になじめず、また、社会からは「日本による奴隷教育を受けた」存在として蔑まされてきた。~そのことは映画「多桑」に「どうせお前たちにはわからない」との言葉で描写された。
・少年時代は辛かった。日本統治時代はそんなに良い時代ではなかった。100%良かったわけではない。しかし、日本は母国である、自分たちは母親に捨てられた子供のような存在。その母国が今やどうなってしまったのか。日本に対する愛憎混じった思い。

お話を受けて、「トオサン」の孫の世代にあたる3人の台湾留学生からそれぞれの「トウサン」との思いを紹介してもらうとともに、若い世代の日本人5人の台湾にかかわる思いを発言してもらいました。これからの日台交流を荷う世代から発言が多く有意義な集いとなりました。平野先生をはじめ参加してくださった皆さまありがとうございました。

終了後の講師を囲む懇親会には30人ほど、続く2次会及び3次会にもそれぞれ20人以上が参加して楽しく交流しました。

参加者の感想の一部を紹介します。
・旅の映像を拝見し、逆に「日本」を感じました。今後、次世代に引き継いでいくにはどうすれば良いか考えされられました。平野さんの講演では、なかなか聴けない「お父さん」の心の声を聴く事が出来、戦前・戦後のことをもっと知りたいと思いました。私の両親は戦前生まれで、当時の話を良く話してくれました。帰ってから、両親にもこのことを伝え話し合いたいです。なお、父は台湾が大好きで、私は父の影響で台湾に関心を持ちました。(30代、女性 大阪府)
・台湾にはまだ一度も行ったことはありませんが、平野さんのお話をお伺いして、ぜひ私も「トウサン」に会いたいと思いました。私たちが台湾のことを忘れていても、日本のことを思い続けてくださっている「トウサン」 本当にありがとうございます。平野さん、事務局の皆様に心から感謝申し上げます。また、機会がありましたら、ぜひ参加させていただきます。多謝!!(30代、女性 京都府)

《平野久美子さんの紹介》
平成22年11月、産経新聞出版から「坂の上のヤポーニア」を刊行。ほかに「水の奇跡を呼んだ男」(同)、「トオサンの桜・散りゆく台湾の中の日本」(小学館)、『テレサ・テンが見た夢 華人歌星伝説』(晶文社)、『中国茶 風雅の裏側』(文春新書)、『淡淡有情・忘れられた日本人の物語』(小学館)、『高松宮同妃両殿下のグランド・ハネムーン』(中央公論新社)など多数。

blog管理者の一言
日本においても、戦後教育を受けた団塊世代は戦時を経験した父親世代を拒否・否定してきた。今や社会の一線から退場する時期を迎えているその世代の中にも、やっと日本のトウサンの気持を分かろうとする人も増えてきたと思います。 しかし、残念ながらトウサンたちは子供たちに対して多くを語らないまま亡くなっていきました。まさに「親孝行したい時に親はなし」です。

1 件のコメント:

koma さんのコメント...

平野さんがお話しされる
言葉の一つ一つに重みがありました。
・・・かといって
難しいお話でもなくわかりやすかったです。
新作「坂の上のヤポーニア」
リトアニアのお話がメインなのに
台湾と関係の深い平野さんが
何でヨーロッパなの?と思いましたが
お考えの中には台湾多桑たちの考えが
関係しているとわかりました。
いいお話でした☆